タイは、国民の95%にものぼる人たちが、仏教を信仰する国だ。あなたもタイを旅していれば、タイ人が街角にある仏閣に手を合わせるシーンをたびたび目にしたこともあることだろう。あなたの目には、日本の仏教に対する信仰心とはまた違ったものに映ったに違いない。
タイの仏教について
タイは、宗教の自由は認められてはいるものの国民の殆どが仏教徒だ。これは、国王が仏教界の頂点にいると言う点もあるのかもしれない。まずは、日本の仏教との違いをお話しする上で、厳格なイメージもあるタイの仏教についてお話しよう。
上座部仏教について
タイの仏教は上座部仏教(かつては小乗仏教と呼ばれていた)と呼ばれ初期仏教として厳格な教義が特徴だ。スリランカ、ミャンマーなどの南部ルートでタイに伝わった仏教だ。出家して厳しい修行をしている僧侶に対してタイ人の尊敬の念は、日本人のそれとは全く違うもののように映る。
タイの仏教である上座部仏教は、かつては大乗仏教から小乗仏教と呼ばれていた。乗とは乗り物のことで劣った乗り物ということで、現在は小乗仏教という呼び名は、大乗仏教からの差別的呼び名ということもあり、現在は上座部仏教と呼ばれている。
日本人的には、お坊さんのイメージってどうだろう。坊主丸儲けか生臭坊主(怠け者)とか、エロ坊主というイメージではないだろうか。もちろん、ほとんどのお坊さんが真面目に修行されているとは思うのだが。
僧侶と戒律
僧侶には、20歳未満のネーンと呼ばれる修行僧と、20歳以上のプラと呼ばれる修行僧がいる。ボクの近所のお寺でも今年のソンクランには、長期夏休み休暇にお寺にネーン(小学生が多かった)が修行にきていた。
ボクのタイ嫁の弟は、昨年の1月1日に結婚をしたのだが、結婚をした後の出家はブン(徳)が少ないということで、急遽、結婚前に出家した。なんとも、タイらしい(笑)まあ、結婚前の出家は両親にとっても家族にとっても一番の功徳でもあるからわかならいでもないが。確か、出家期間は9日間だったと思う。
現在の出家は、形だけのものが多いために3日~9日という短期出家が一般的となっている。現在のタイの出家を見ていると、形だけに感じるのはボクだけではないはずだ。
タイの出家僧は、227もの戒律を守りながら生活をしている。227の戒律も覚えてられるのかと心配になるのは、ボクだけだろうか。
在家信者にも守らなければならない5つの戒律がある。おー、これなら覚えられそうだ。
- 生き物を殺さないこと(蚊もダメ!これ、絶対守れそうにない。)
- 盗みを働かないこと
- 間違った性行為をしないこと(所謂、浮気の類)
- 嘘をつかない
- 酒を飲まない
そう言えば、タイの僧侶ってタバコ吸う人多いのだが、タイ嫁にタバコはいいのって聞いたら、問題はなさそうだ。227もある戒律に、タバコを吸ってはいけないがないのは不思議だが、昔はタバコがなかったということなのだろうか。タバコも嗜好品の類だと思うのだが、まあ、細かいことは気にしない。マイペンライ!マイペンライ!一休さーん!
タンブン(徳を積む)
日本人には、なかなか理解に苦しむこのタンブン。まあ、日本人的には、お賽銭くらいなら分からないでもないが、タイ人はとにかくタンブン好きである。輪廻転生を信じていることもあり、悪い災への恐怖からタンブンをしているのではないかという人もいる。
ボクも奥さんがタイ人ですから、もちろんタンブンはする。郷に入れば郷に従え!タイ嫁に従え(笑)
タンブン(徳を積む)には、様々あって、自分ができることをするという概念に基づいている。たとえば、お金がない人は労働でタンブン(徳を積む)したり、ワンプラ(仏日)に食事を作って一般に無料で提供したりすることでもタンブン(徳を積む)になる。
タイ嫁とこんなことを話したことがある。
なんと、タンブン(徳を積む)とは手離れのいいものだ(笑)
また、タイでは悪いことをしてもタンブンをすれば許されるというような風潮もある。これは、如何なものか。
このタイ人が行っているタンブンは、なかなか日本人には馴染めないものなのかもしれない。
日本の仏教について
日本国民の仏教に対する信仰心は、タイと比べると信仰の深さをあまり感じられないが、それはどのような背景があるのだろうか。
日本の仏教は大乗仏教であり、インド~中国、韓国などの北部ルートを通って伝わった仏教で、僧侶に教えを説いてもらうだけで、誰でも悟りを開くことができるという教義に基づいている。また、僧侶が結婚もできたりする日本の仏教は、到底タイ人には理解できないことだろうと思う。
日本とタイの仏教の違いまとめ
タイの小乗仏教とは、227もの戒律を守りながら厳しい修行をしたものだけが悟りを開くことができるが、日本の大乗仏教は、大きな乗り物ということで、誰もがその大きな乗り物に乗って、悟りを開くことができると言うものだ。
どの世界でも保守派と革新派に分かれていくもの、仏教界もまた同じということか。
タイと日本の仏教は似て非なるものではあるが、お互いを軽蔑することなく尊重し合うことが大切ではないだろうか。
タイの僧侶は坊主丸儲けなのか?!
日本では、お布施が宗教法人のため非課税などの税制面で恩恵を受けているため、坊主丸儲けなんて言う言葉で揶揄されることもあるが、タイも坊主丸儲けなのだろうか。
[note]坊主丸儲け
僧侶は元手がいらないので、収入の全部がもうけになるということ。
引用先:コトバンク[/note]
日本の僧侶は、宗教法人から給料をもらうこともできる(所得税は課税)が、タイの僧侶はお寺から給料が出ることはなく、葬儀などのときに個人的にお布施としてが現金収入があるくらいだ。中には、そのお布施さえも没収するお寺もあるようだ。
以前、バンコクで現地採用として働いていたときも、会社でも年に一二度はお坊さんを呼んでタンブンをして、それぞれのお坊さんにお布施を渡していた。あのお布施も没収されてしまったのだろうか。
タイ人には、到底理解できないものに戒名がある。死者に名前を付けるってどういうこと?!タイでは、輪廻転生という理念から亡くなったら体はもう抜け殻という考えがある。なので、死者に名前をつけるということもなく。しかも、日本だとこの戒名がべらぼーに高い。坊主丸儲けと揶揄される原因の一つにもなっている。
仏教とお金という観点からいえば、タイのお坊さんは、坊主丸儲けではないのかもしれない。
ただし、近年、タイでは自家用ジェット機を持っている僧侶が資産を没収されたり、虎をお寺で飼育して見世物として大儲けした僧侶、昨年は、収賄疑惑の渦中にあるタイ バンコク郊外ランシットにあるタンマガーイ寺院が約2000万ドル(約24億円)の寄付金を返還するなどのニュースがタイを駆け巡った。
タンマガーイ寺院は、輪廻(りんね)転生を信じる仏教徒に、寄付金の額は来世での幸運の大きさに比例すると説いていることもあり、宗教施設の規制強化を求める声も多く上がっている。
ボクの自宅のお寺も、たびたび行くのだが最後にタンブンされたお金を数えると、お坊さんがこういうのだ。
と、タンブンの上乗せを要求する。そして、タイの仏教徒の人たちはさらにタンブンをする。
*9は、タイ語でเก้า(ガーオ)といい、進むという意味のก้าว(ガーオ)と発音が似ていることから、縁起がいいとされている。
日本人からすると、タンブン(徳を積む)は無理してするものではなく、自分がやれることでタンブン(徳を積む)すれば良いのではないだろうかと思うのだが。
まとめ
タイは、上座部仏教ということもあり厳しい教義に基づいて生活を送っている。もちろん、女性に触れることさえも、ましてや結婚なんて以ての外。厳しい戒律の中で修行している。
日本は、大乗仏教であり結婚も問題ないし、お給料ももらえる。また、修行をしなくても修行をしたものに教えを説いてもらえば悟りを開くことができるという少しゆるーい仏教というイメージだ。
しかし、最近のタイでは、さきほどもお話してきたようなきなまぐさい話も多いタイ仏教界。タイでも坊主丸儲けという言葉ができないことを祈るばかりだ。
今日は、タイと日本の仏教の違いについてお話しをしてきたが、いかがだっただろうか。タイと日本の仏教に違いはあれど、お互いを尊重し合うことで分かり合えることも多いのではないだろうか。
それではまた~。サワディクラップ!
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